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新鮮で奔放な80年代

2019/03/01

「毎日絵を描いている人が結果的に"絵描き"なんだと思う」(杉山知子)
美術手帖の「特集 美術の超少女たち」(1986年8月号)には、奔放なイメージや色彩とともに、描くこと、作ることに対する率直なコメントが溢れている。同号には、本展出品の杉山知子(1958-)や吉澤美香(1959-)、松井智惠(1960-)をはじめ、当時活躍が目立ち始めた若手女性作家39人がまとめて紹介されている。みな、20代の若さである。

 

 「作品を作るきっかけになるものは、ごく日常的、かつ私的な事柄で、人生や社会について語るといった大袈裟なものではけっしてないのです。(略)私にとって作品をつくるということは、「生活する」ということと、常に同次元にあります。」(杉山知子「"私の本当"という切実さ」美術手帖1984年7月号、p45)

 

少々ナイーブに過ぎるとも思える率直さは、若さであり、消費文化が花開こうとする時代の空気でもあるだろう。作家が等身大の日常をテーマとすることに、今では違和感はないだろう。絵が壁や床、天井にのび半ば立体化し、段ボールや布や糸、陶などおよそあらゆるものを素材にインスタレーションされることも。しかし80年代初めには、それは新鮮なことだった。70年代、絵画は平面、彫刻は立体と呼ばれ、容易に描けない、作れない時代だったのである。

 

 「起点としての80年代」は、そんな80年代の日本の美術を大竹伸朗、中原浩大、日比野克彦、舟越桂、森村泰昌、宮島達男、横尾忠則ら、今や(当時から)日本を代表する作家19人の作品で紹介する。この時代、作品が一気に多様化、大型化し(今回の輸送は10tトラック3台以上!)、これだけの作品を一度に見る機会はこれまでになかった。金沢21世紀美術館、高松市美術館との共同企画で、金沢を皮切りにスタートしたが、実際に展示された作品を見ても古びた感じは全くない。

この機会に、今につながる迫力ある、新鮮な作品の数々を是非、体験して欲しい。

 

(a.ik)

 

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「起点としての80年代」
会期:2019年2019年1月5日(土)~3月24日(日)
【出品作家】
  石原友明、今村源、大竹伸朗、岡﨑乾二郎、川俣正、杉山知子、諏訪直樹、辰野登恵子、戸谷成雄、中原浩大、中村一美、日比野克彦、藤本由紀夫、舟越桂、松井智惠、宮島達男、森村泰昌、横尾忠則、吉澤美香