静岡市まちかどコレクション ワークショップ「"フォトモ"で再現 静岡の"まちかど"」開催のお知らせ

2016/06/29

ワークショップのお知らせです。

 

美術家・写真家の糸崎公朗さんを講師に招き、

みんなで静岡のまちを歩いて撮った写真をもとに、

立体的に"まちかど"を再現する作品「フォトモ」をつくるワークショップです。

実施日:7月23日(土)・30日(土)

対象:中学生以上24名

詳細はこちら

 

「フォトモ」・・・聞きなれない言葉ですよね。

フォトグラフ(写真)+モデル(模型)の造語で、

写真を立体的に組み立て、3次元化する手法のことです。

 

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糸崎さんは、路上を歩きながら街並みを観察するのが大好きで、

カメラを片手に、よく街歩きをされるそうです。

 

1枚の写真では、路上の面白さを撮りきれないと感じた糸崎さんは、

その面白さを丸ごと表現するために、

この「フォトモ」という表現にたどり着いたのだそう。

 

1枚の写真では到底表現しきれない、

現実以上にリアリティを感じさせる「フォトモ」。

そこからは、被写体となった場所の空気感や時間の流れ、

そして、制作者ひとりひとりの世界観をも感じることができ、

いつまでも見入ってしまいます。

 

「なんだか難しそう」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、

ユーモアあふれる講師の糸崎さんの指導により、

どなたでも楽しみながら「フォトモ」で作品がつくれますのでご安心を!

 

 

実は静岡市美術館では今までに2回、フォトモワークショップを実施しています。

 

初回は静岡市美術館が開館したばかりの2011年。

なんと5日間・計25時間かけ、参加者一人一人が街歩きをし、

撮影した写真を素材に、静岡の街並みをフォトモで再現しました。

 

■ワークショップの様子■

2011/01/16 ワークショップシリーズVol.4 糸崎公朗「フォトモで作ろう!静岡の街」

http://www.shizubi.jp/blog/2011/01/vol4.php

 

2011/02/19 ツギラマ・フォトモ作品、展示します!

http://www.shizubi.jp/blog/2011/02/post-31.php

 

2011/03/06 ツギラマ・フォトモ作品、展示中です!

http://www.shizubi.jp/blog/2011/03/post-32.php

 

2回目は「国宝・久能山東照宮展」にあわせ、

久能山350年祭当時の絵葉書や古写真などを題材に、

なつかしい静岡の街並みをフォトモで再現しました。

 

■ワークショップの様子■

2014/11/8 【国宝・久能山東照宮展】フォトモワークショップのご報告&作品展のお知らせ

http://www.shizubi.jp/blog/2014/11/post-142.php

 

 

皆様のご参加、お待ちしております!

 

ワークショップの詳細・お申し込み方法はこちら

 

(m.y)

 

 

石井林響(いしい・りんきょう)と新井旅館

2016/06/28

今日も朝から一日雨ですが、駅から地下道で直結、雨にぬれずに来られる静岡市美術館です。皆様のご来館おまちしております。

これから、少しずつ、伊豆市所蔵近代日本画コレクション展に出品されている、相原沐芳と親しく交わった日本画家たちの作品をご紹介します。 今回の展覧会の調査を通して新たに分かったことも、お知らせします!!

 

まずは石井林響。

彼は、若い頃、天風という号で活躍した日本画家です。新井旅館の沐芳と最も親しく、生涯を通じて家族ぐるみで交流したのは、もちろん安田靫彦ですが、実は、林響は靫彦よりも早くから新井旅館に逗留し、靫彦より長期にわたり滞在していました。沐芳夫妻は、靫彦の仲人もつとめましたが、林響の仲人もまた相原夫妻でした。 ですから、この展覧会では安田靫彦の次に、林響の作品を並べています。

 

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展示室第一室のウォールケース中央にましましているのが、林響の天風落款の「弘法大師」です。

とても大きな作品で、林響が修善寺に滞在していた、明治41年の国画玉成会(こくがぎょくせいかい)出品画です。

画面には、顔をやや右に向け、右手に五鈷杵(ごこしょ)、左手に念珠を持って趺座(ふざ)する弘法大師像が描かれます。右端に水瓶(すいびょう)もみられます。

 

弘法大師を描いた現存作例は、古くは鎌倉時代よりありますが、いわゆる真如親王(しんにょしんのう)が描いた大師像とよばれる、"椅子に座し、椅子の下に沓が横に脱がれ、水瓶を配す"という古典的な形式に倣いながら、林響は大師自身をクローズアップし、椅子や沓は描かず、光背を描き加え、大幅を十二分に活かした迫力満点の作品にしています。特に目の瞳の表現は、なかなかにリアルで、新しい日本画を模索した若い画家ならではですね。

 

ちなみに修善寺温泉には、福地山修禅寺を開創した弘法大師・空海が、桂川の水で病気の父を洗う子どもの姿をみて、川の水ではつめたかろうと、独鈷杵を川に投げ入れ、温泉を湧きたたせたという伝説がありますから、林響は、新井旅館に滞在して、この修善寺ゆかりの伝説を知り、大画面に新しい描法で弘法大師を描いたのではないかと思います。

千葉出身で東京で洋画家を目指した林響がなぜ新井旅館と縁ができたのかはわかりませんが、この地で制作したからこその画題と表現であったといえるでしょう。

 

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石井林響 弘法大師 明治41年[24歳]伊豆市

 

そして同じころ描かれた、春風駘蕩 (しゅんぷうたいとう)。

とても不思議な絵です。三人の中国人物が馬に乗って、柳の緑が爽やかな川辺の道を行く様子が描かれていますが、中央の人は、春爛漫に酔いしれたのか、左右の人物に支えられているのです。こんな不思議なポーズはみたことがありません。因みに箱書は沐芳が記していますが、この作品も林響が修善寺滞在時期ですから、大分たってからの箱書です。

 

今回の調査で、この不思議な図は、江戸時代の画譜、吉村周山『和漢名筆画宝』六巻六冊(明和4年刊)中の図像をそっくり写したものであることがわかりました。

この本書は中国、日本の古名画を収録したもので、このう第一巻「官人馬乗遊之図」として明代の戴文進の作として掲載されていました。

 

日本画革新を目指す若き画家が、こうした江戸の版本から中国主題を学んでいたことはとても興味深く思います。因みに林響は最初は洋画家を目指していましたが、東京にでて橋本雅芳に師事し、また国学院の夜学に通って有職故実を学んだといいますから、こうした江戸の画譜、絵手本類も、国学院の夜学で親しんだのかもしれませんね。

ちなみに、杜甫「飲中八仙歌」で「知章が馬に騎るは船に乗るに似たり。眼花井に落ちて水底に眠る」と謳われた賀知章は大抵、両側を童子に支えらるた姿で描かれますから、この人物は賀知章を描いているのかもしれません。

 

(e.y)

 

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石井林響 春風駘蕩 (しゅんぷうたいとう) 明治40 年代 [24~26歳頃] 伊豆市

 

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吉村周山『和漢名筆画法』六巻六冊 明和4年(1767)刊のうち第一巻「官人馬乗遊之図」より

 

 

安田靫彦「鴨川夜情」の心持(こころもち)

2016/06/26

今春、東京国立近代美術館では、日本画家・安田靫彦(やすだゆきひこ)の二度目の大回顧展が開催されました。

若くして岡倉天心にその才を見いだされ、明治、大正、昭和の長きにわたり、常に院展の中心人物として活躍し、昭和53年、94歳でその画業を終えた靫彦の生涯は、常に死と隣り合わせでした。

実際、古画研究のため選ばれて奈良留学しますが、病気のために中断を余儀なくされてしまいます。

 

そんな靫彦を、病気療養にと修善寺温泉に招き、支援したのが、新井旅館三代目館主・相原沐芳(あいはらもくほう)でした。

このことで以前より友情が深まった二人は、生涯、家族ぐるみの交流が続いたのです。

また、靫彦を介して、新井旅館には横山大観(よこやまたいかん)、今村紫紅(いまむらしこう)、小林古径(こばやしこけい)、前田青邨(まえだせいそん)ら多くの画家達が出入りしました。

 

そんな靫彦と沐芳、そして画家仲間たちの交友を彷彿とさせる一点をご紹介します。安田靫彦「鴨川夜情」です。

この作品は、京都・鴨川の床で、夕涼みをする3人を描いています。

細く優しい線で描かれたそれぞれの顔をじっとみていると、何やら楽しい会話が聞こえてきそうですね。

行燈の灯りに照らされて、川面は静かに動いています。何ともほっとする情景です。

 

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安田靫彦「鴨川夜情」昭和9年頃 伊豆市所蔵

 

 

実際、靫彦は、江戸後期の文人・田能村竹田(たのむらちくでん)「柳塘吟月図(柳蔭吟月図)」に記されたエピソードに想を得て、この作品を描いたそうです。

それは七夕の夜、酒宴を楽しんでいた竹田のもとに、青木木米(もくべい)の家から帰ってきた頼山陽(らいさんよう)がやってきたので、二人は木米の話をしながら鴨川の床で酒を酌み交わした、というもの。

竹田、木米、山陽は親友同士。互いを思って絵を描き、詩を添えあった、文雅の交わりの証ともいうべき書画が多数残されています。

 

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田能村竹田柳塘吟月図(柳蔭吟月図)」(「大風流田能村竹田」所収)

 

 

歴史画の靫彦と言われるほど、靫彦は生涯、古典・古画研究に励みますが、一方で、良寛や江戸の文人達の風雅な世界に憧れて、身近に鑑賞していたといいます。

実は「鴨川夜情」は、同主題の七絃会出品画を昭和7年に制作した後、改めて靫彦がその試作品に筆を加え、沐芳のために描いて贈った作品なのです。

靫彦と沐芳らが芸術談義を交わす様子にもみえる本作は、靫彦が親友のために描き、捧げた絵ともいえるでしょう。

 

(e.y.)

 

 

【伊豆市展】1点だけですが、、、展示替えをしました。

2016/06/24

梅雨のうっとおしい季節ですが、連日ご来館ありがとうございます。

新井旅館の沐芳と若い画家たちの温かな交流によって育まれた、爽やかで清々とした作品が皆様をお待ちしております。

 

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昨日までは、第二室で、安田靫彦(ゆきひこ)の沼津時代、つまり、新井旅館で最初に静養した直後の作品をご紹介するコーナーでは

「拈華微笑」(ねんげみしょう)のお隣には、「達磨」が飾ってありました。

 

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6/12(日)の久野幸子先生によるご講演で、この「拈華微笑」については菱田春草(ひしだしゅんそう)作品との画題の共通点、そして達磨と拈華微笑の背景の樹木の表現について、横山大観作品との共通性についてご指摘がありました。

展覧会担当としても、二つの作品の共通性を考えてこのような配列にしたのですが、この作品は保存の観点から展示替えが必要です。

 

今日からは、達磨の代わりに「十六羅漢」が展示されています。

これも同じ頃、沼津時代の作品です。

左隣の六歌仙と、群像表現において通じ合うところがあるかしら、と思いながら。

 

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この展覧会もあと15日で終了です。

まだご覧になっていない方、JR静岡駅から雨にぬれずに来られる静岡市美術館です。

また今展では静鉄バスまたは静岡鉄道をご利用の方にルルカポイントも付与されますよ。

皆様のご来館お待ちしております。

 

(e.y.)