「没後20年 ルーシー・リー展」関連イベントのご報告
2016/05/18
4月16日(土)に本展監修者の金子賢治氏による
記念講演会「ルーシー・リーの造形美 現代陶芸のパイオニア」を、
4月30日(土)に陶芸家の小山耕一氏による
実演&レクチャー「ルーシー・リーの制作技法について」を開催しました。
金子氏の講演会では、ルーシー・リーの優美で繊細な形の出自を、
古代ギリシャや東洋の陶芸との比較、また同時代の潮流も交えてお話頂きました。
深い考察ながらも軽妙な語りで参加者を飽きさせない、
長年ルーシー・リー作品を研究されてきた金子氏ならではの講演会となりました。
小山氏のレクチャーでは、掻き落とし、象嵌、スパイラル(練り込み)など、
ルーシー・リーに特徴的な技法について実演を交えてお話頂きました。
目の前で轆轤を挽き、加飾していく姿に惹きこまれ、あっという間の2時間でした。
「没後20年 ルーシー・リー展」は5月29日(日)までの開催です。
白を基調としたニュートラルな空間でルーシー・リー作品をお楽しみ頂けます。
どうぞお見逃しなく。
(a.i)
都市の陶芸家 ルーシー・リー
2016/05/17
ウィーンの裕福なユダヤ人家庭に生まれたルーシー・リーが、
ナチスによるオーストリア侵攻を機にロンドンへ避難してきたのは1938年のこと。
翌年ハイド・パーク周辺のアルビオン・ミューズと呼ばれる場所に住居兼工房を見つけます。
リーはこの工房で1995年に亡くなるまでの約60年制作を続けました。
小さく高い高台と口縁部が広がった薄作りの鉢、
パーツを組み合わせて作り出された伸びやかな花器。
さらにそれらフォルムと一体となった、目を惹く鮮やかな釉薬。
様々な実験を経て、ルーシー・リーならではのスタイルが生み出されました。
リーが使用していた電気窯は、高温焼成が可能で、
素焼きをせずに一回の焼成しか行わないという、彼女の最も特徴的な作陶を可能としました。
また設置場所が省スペースで済み、さらに燃料で炊く窯のように
炎の偶然性に左右されにくいという利点もあります。
釉薬の研究や実験を繰り返しながらフォルムや色を追求し、
意識的なものづくりを半世紀以上にわたって続けたリーの芯の強さ。
これが、彼女の華やかな作品のなかに漂う、凛とした気品に繋がっているのかもしれません。
本展では初期から晩年にいたる約200点が出品され、その大半が初公開となります。
また近年新たに発見された、ウィーン時代の作品も紹介されています。
2010年の国立新美術館で開催された回顧展を経て、
日本でのルーシー・リー人気には目を見張るものがあります。
ブームや「かわいい」という言葉だけで片づけてしまうには惜しい、
ルーシー・リーの魅力が詰まった展覧会です。どうぞご覧ください。
現在ロンドンのビクトリア・アンド・アルバート美術館には、
リーの工房の一部が再現されています(画像)。
写真右手に見えるのは、リーが実際に使用していた回転轆轤。
左手の棚に積み上げられているのは、
戦時下に生計を立てるために制作していた陶製のボタンのための石膏型。
(a.i)
「没後20年 ルーシー・リー展」来場1万人達成!
2016/05/15
4月9日に開幕した「没後20年 ルーシー・リー展」。
本日、1万人目のお客様をお迎えしました!
1万人目となったのは、神奈川県からお越しの御前さん。
展覧会を楽しみに、静岡県内のご友人と一緒にご来館くださいました。
当館館長から記念品を贈呈しました。おめでとうございます!
ルーシー・リーの没後20年を機に開催される本展では、初期から晩年までの作品約200点で彼女の足跡を辿り、その魅力に迫ります。
当館独自の展示構成もあり、他会場でご覧になった方も新しい発見があるかもしれません。
展覧会は5月29日(日)まで。
静岡市美術館が全国巡回の最終会場です。
どうぞお見逃しなく!
(c.o)
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