静岡市美術館HOME > 静岡市美術館ブログ > 1月生まれのアカデミー会員たち②

1月生まれのアカデミー会員たち②

2015/01/09

昨日から始まりました「1月生まれのアカデミー会員たち」のコーナー。
早くも2人目の紹介です。

今日1月9日に誕生日を迎えるのは、ウィリアム・パウエル・フリス(1819-1909)です。
アマチュア画家の息子として生まれ、アカデミー・スクールに学びました。

初めて名前を聞く方も多いかと思いますが、
同時代の都市に生きる人々を主題にした作品を多く描き、19世紀イギリスで人気を集めた画家です。

特に、1856年~1858年に彼が描いた、
ロンドンの南にあるエプソム競馬場で行われた大レース「ダービー」に集う人々を主題とした作品《ダービー・デイ》(現在はテイト美術館所蔵<←クリックするとテイト美術館の作品紹介ページにジャンプします。>)は大評判となり、1858年にロイヤル・アカデミーでこの作品が展示されると、一目みようと集まった人たちで展示室がいっぱいになり、作品を守るために柵が設けられたほどの人気だったとか。

今回のロイヤル・アカデミー展でのフリスの作品はこちら↓。

眠るモデル.jpg

彼がアカデミー正会員になった年、1853年に描かれた《眠るモデル》という作品です。

舞台は、フリスのアトリエ。
田舎に暮らす笑顔の素敵な若い女性を描くため、
モデルに雇ったのは街角でオレンジ売りをしていた女性でした。
女性の下にはオレンジの入った籠も見えます。

当時、モデルという職業は、道徳的に好ましくないと思われていたこともあって、
なかなか彼女は引き受けてくれなかったようです。
一生懸命説得して、やっとポーズをとってもらえたのですが、
プロのモデルではなかったこの女性、疲れていたのか、
途中で寝てしまいました。

画面右側で絵を描いている男性がフリス本人ですが、
彼の顔を見ると、どこか困惑している様子がうかがえます。
女性の後ろには、中世の鎧とマネキンの人形が描かれていますが、
鎧にクタッとよりかかるようにして置かれているマネキンは、
眠る女性のポーズに連なっているようにも見えますね。

フリスの溜息も聞こえてきそうなこの作品は、
展覧会の第2章に展示されています。
是非ご覧ください。

(K.O)