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1月生まれのアカデミー会員たち①

2015/01/08

現在好評開催中のロイヤル・アカデミー展。
700人を超える歴代のアカデミー会員たちの中から、
今回は18世紀~20世紀初頭に活躍した、59名を紹介しています。

ターナー、カンスタブル、ミレイ等イギリス美術を代表する画家たちはもちろん、
これまで紹介されることの少なかった会員たちもたくさんいます。
このブログで、そうした知られざる作家たちも含め
今回作品が出品されている会員たちについて毎日発信していきたいのですが、
さすがに、展覧会終了までは全員紹介しきれません!

ということで、
今日から本展に作品が出品されている、1月生まれのアカデミー会員たちを、誕生日祝いも兼ねて、
出品作品とともに、これからご紹介していきたいと思います。
(12月生まれは、誕生日が追えた作家たちの中には残念ながらおりませんでした。。。)
さて、トップバッターは、本日1月8日に生まれた、ローレンス・アルマ=タデマ。

本展で出品されているのはこちらの作品↓


アルマタデマ.jpg
タイトルは、
《神殿への道》。1882年の作です。

アルマ=タデマ、なんか舌をかんでしまいそうですが、これが苗字。
イギリスではなく、オランダの出身です。

最初は法律や音楽の勉強をしていたようですが、
16歳の時にベルギー・アントワープの美術学校に入学します。
この時に知り合った考古学者がアルマ=タデマに影響を与え、
彼は古代世界に強く惹かれるようになっていきました。

イギリスに渡ったのは1870年、34歳の時。
普仏戦争の混乱から逃れるためだったと言われています。
その後イギリス人女性と結婚し、1873年にはイギリスの国籍を取得しました。
1879年にロイヤル・アカデミーの正会員に選ばれています。

アルマ=タデマの作品の特徴は、古代世界の綿密な再現です。
今回出品されている《神殿への道》を見てもわかるように、
建物はもちろん、人物の衣服や装飾品の細部、
そしてその素材の質感に至るまでが、本物そっくりに描かれています。
《神殿への道》は、酒の神ディオニュソス(バッコス)へ捧げられた祭礼である、
「バッカーナーリア」の様子を描いています。
実際はかなりの大騒ぎなお祭りだったようですが、
ここではまだ始まったばかりなのか、画面後方を見ると、
手にタンバリンのような楽器を持ってはいるものの、
派手に打ち鳴らしたりはせず、
しずしずと、神殿に入っていく巫女たちの様子が描かれています。

画面中央右、神殿の入口には赤毛の女性が腰かけ、
見ている私たちに、神への捧げ物を買うよう勧めているような仕草をしています。
彼女の両側にはたくさんの小像や壺が置かれており、
細かい部分まで丁寧に再現されています。
女性の下にある動物の毛皮の敷物や、神殿の床の大理石の質感表現も見事ですね。

アルマ=タデマのこうした古典古代に取材した作品は、
19世紀末のイギリスで人気を集めました。
晩年は作品のマンネリ化が指摘されたり、
印象派などの新しい流れに押されていたようですが、
古代の日常風景の忠実な再現には注目です。
是非展示室で実物をご覧ください!


(K.O)