"京・冷泉家と徳川家のコラボレーション"

2012/08/17


冷泉家の乞巧奠(星祭り)は、毎年旧暦の七月七日に行われます。
これは年に一夜の星の逢瀬(おうせ)を祝し、かつ技の巧みな星に自らの技を手向けて上達を祈る、というものだそうです。和歌の宗家である冷泉家では、七夕の日の夕方、二星にむかって雅楽を奏し、和歌を手向け、兼題を披講(ひこう/声に出して詠む)し、次に「流れの座」となり、白布を天の川に見立て、男女が相対し、歌を詠みかわして贈答するそうです。

 

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本展で展示している乞巧奠の祭壇 星の座は、織姫と彦星に手向けられた、お供物といっていいでしょう。
角盥(つのだらい)には梶(かじ)の葉を浮かべ、九本の灯台に明かりをともし、海の幸、山の幸を各九種、秋の七草、五色の絹・糸、そして雅楽の楽器(琴と琵琶)を飾る。

この雅楽の楽器、本展では静岡浅間神社の御好意で、江戸幕府十五代将軍・徳川慶喜の父、徳川斉昭が自ら作り愛用したと伝えられる琵琶を二星に手向けています。
この琵琶は、雅楽の家である東儀家が、安政三年に斉昭より賜り、大正十三年に東儀家より静岡浅間神社へ奉納されたもの。

 

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平安時代以来、宮中の年中行事として伝えられた乞巧奠の形を、ほぼそのまま守り伝える冷泉家の星の座もなかなか目にする機会はありませんが、冷泉家の星の座と斉昭の琵琶が一緒に展示されることは、今後、おそらくないでしょう。
冷泉家も、静岡ならではのこの趣向を大いに喜んで下さり今回実現しました!

 


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因みに徳川将軍家には中華文人の書斎を飾る文具が「七夕飾文具」として伝来しています。幕末から明治期には既に、乞巧奠は主に女性の裁縫や書道の上達を祈るものとして浸透していましたが、高貴な男性の詩文書画の上達を祈り、七夕飾りに文房四宝が選ばれていたとすれば、これまた興味深いことですね。

 

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  本展では第十四代将軍家茂の所用品でガラス製の異国趣味の文具と、徳川宗家第十六代を継ぎ、初代静岡藩知事となった家達(いえさと)の文人好みの四君子(蘭竹梅菊)の意匠で統一された七夕飾文具を展示しています。

  公家社会で伝えられてきた七夕の行事も、江戸時代には五節句の一つとしてどちらかといえば女子の行事としての色が強かったようにも思いますが、静岡や徳川家とのかかわりの中で、本展では意外な展開を見ることができました。
年に一夜の星の逢瀬(おうせ)どころか、もう二度とない、取り合わせでしょう。

  本展も残り2日となりました。この機会をぜひお見逃しなく!

                                                                                                                             (e.y.)


 

「夏の星空を観察しよう」7月29日実施

2012/08/15

 

 今回の講座は、静岡市美術館の「七夕の美術」の美術館学芸員によるギャラリートークで、美術作品から七夕の歴史を学び、美術展の中での静岡科学館スタッフによる「宇宙散歩」で天文学から見た七夕を学び、そして最後に市内小・中・高の教員ボランティアによる「観望会」で実際の星空を観察するという盛りだくさんの内容でした。
 
 1週間ずっと曇天がつづくという、天文担当のスタッフを悩ませる中でスタートした講座でしたが、美術館の作品解説が始まると、参加者は伝統的な七夕の様子や、生き生きと描かれる七夕と人々のかかわりかたに、興味津々の様子でした。

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 日詰明男氏と市民のコラボレーション作品「羽衣天の川」が出迎える。

 

 

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学芸員の解説に、大人も子どもも納得。

 

 

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 静岡科学館スタッフによる「宇宙散歩」では、夏にみられる星座の紹介や、七夕の主役、織女星(ベガ)と牽牛星(アルタイル)や、その間に横たわる天の川の正体など、星々を宇宙からのぞいてみるプログラムに、参加者からは驚きの声が上がっていました。

 

 会場を近隣の小学校(静岡市立森下小学校)の校庭に移し、最後の観望会です。天頂の星がかろうじて見える状態で惑星を観察することはできませんでしたが、月やこと座のベガとその周辺の星、うしかい座のアルクトゥルスなどを観察することができました。実際に自分の目で星を見るということは、参加した子どもたちにとって新鮮であり、講師と星について語ることで、星や宇宙への興味を膨らめていました。

 今回の講座で感じたことは、星に思いをはせながら眺めることで、子どもたちは闇と星から創造力を膨らませ、大人は癒しを得られます。特別な道具がなくても、まずは星を見上げることから始めてみよう、ということでした。


 

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観望会ではフラッシュがたけません。すべてこんな写真でした。

 

 さて、「七夕の美術」最終日の7月19日(日)には、「展示場で宇宙散歩」を行います。 

 宇宙散歩では、国立天文台が制作した宇宙の映像を迫力ある大画面に映し出し、太陽系から宇宙の果てまで静岡科学館スタッフがご案内していきます。天文学から見た七夕をはじめとして、途中クイズも交えながら基本情報から最新の宇宙情報まで映像を使ってご紹介します。

 
 前回行った際には、大人から子どもまで様々な質問も飛び出してアットホームな形で進めることができました。七夕の話をはじめ、宇宙のことを聞いてみたいという方も是非足を運んでみてください。

 

静岡科学館 池田博史

 

 

 

 

 

「しずびチビッこプログラム」、展覧会ごとに開催しております!

2012/08/14

 昨年度より、毎回多くのお申込みを頂いている「しずびチビッこプログラム」。2歳以上の未就学児を対象とした、開催中の展覧会に関連したアートプログラムで、保護者の方には展覧会をゆっくりご鑑賞頂きます。 

 それではさっそく、5/26(土)、6/30(土)に行ったチビッこプログラムの模様をご紹介したいと思います!
 
 

まずは、5/26(土)に行った「森村泰昌モリエンナーレ まねぶ美術史」展の「しずびチビッこプログラム」から。
 
 プログラム恒例、ニョロクッションをつなげてあそんだ後に...


 
 


 子ども達と一緒に、森村さんが描いた絵を鑑賞します。 


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 「なにがみえるかな?」という問いかけに、子ども達は次々に形を発見!
 「ひとがいるよ!」「家がある!」「お月さまがでているよ!」


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 抽象的な作品の中から、さまざまなものが見えてきます。
 「どんな形がみえてくる?」
 「まるとか、さんかくとか、しかくがあるよ!」

 

 そうです、今回のテーマは「○△□をつかって絵を描こう!」というもの。
 みんなで鑑賞した、森村さんの絵がヒントになっています。
 
 まずは、大きさ、色が様々な○△□のかたちの紙のパズルで作品づくり。


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 「これロケットだよ!」「でんしゃだよ!」「きんぎょさん!」

 

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 普段から積み木や絵本で○△□のかたちに親しんでいる子ども達にとってはお手のもの。
すいすいとつくっていきます。
 


 できあがった作品は「ラミネート屋さん」がラミネートをかけてくれます。
子ども達に大好評でした。 

 

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 次はいよいよ○△□をつかって絵を描いていきます!
使うものは、○△□のかたちにくり抜いた型枠と...


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 お手製タンポとアクリル絵の具。


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 好きな色の絵の具をタンポにつけたら、型枠を紙にあてて、力をこめてポンポン、グリグリ。
続いて、別の色をタンポにつけて、もう一度紙に押し付けると...
色と色が重なりあって、思わぬ仕上がりになります!


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 お気に入りの色を何度も何度もつけて出来上がりを楽しむ子、


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 お母さんの顔を描いた子もいました!

 

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 アクリル絵の具は速乾性があるため、何層にも重ねた分だけ、深い色味に仕上がっていきます。

 

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 押した後の型枠もなんだか誇らしげ。


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 ○△□のかたちを組み合わせる楽しさ、アクリル絵の具の面白さを体験した子ども達でした。


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 続きまして、6/30(土)に開催した、「七夕の美術―日本近世・近代の美術に見る」展 のしずびチビッこプログラムの様子をご紹介します。
 
 
 ちょうど時期も七夕前ということで、今回はしずびオリジナルの短冊づくりに挑戦しました!
 
 まずは、展覧会出品作品を鑑賞。
昔の七夕の風景や、現代にはない昔の七夕飾りを一緒に見ていきます。
 
 象徴的なものは、「梶の葉」。
梶の木が和紙の原料だったことから、お習字の上達を願って飾られたそうです。
昔は、この梶の葉に五・七・五・七・七の歌を書いたことを伝えると、子ども達もびっくり。
"かじのは"という言葉も気に入ったようです。 


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 今回は、この梶の葉と、五色の紙をあしらった短冊づくりを行います。
 
 まずは大きめにカットした短冊を水にひたして、

 

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続いて、5色の水彩絵の具から好きな色を選んで、紙に染み込ませていきます。


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 水で濡らしているので、絵の具はどんどん広がっていきます。
次に、違う色を染み込ませると色と色が混ざり合って思わぬ仕上がりになります。


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 さっそく子ども達も短冊を水にひたし、思い思いに色をしみこませていきます。

 

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 どんどん変化していく色に、子どもたちは夢中!
丈夫な不織布を用意したので、どれだけ色を重ねてもびくともしません。


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子ども達の作品を吊り下げた様子は壮観です!
色鮮やかで、どれ一つとして、同じものはありません。


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子ども達もダイナミックに筆を動かし、本当に楽しそう。
スタッフも、これまでにない大胆な表現が見られ、大興奮でした!

 

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短冊が乾くのを待つあいだ、、、
展覧会出品作の目玉である、もう一つの七夕の物語といわれる絵巻物《天稚彦物語》を紙芝居風にして、子ども達に読み聞かせました。

 

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みんなが知っている彦星と織姫が出てくる七夕のお話とは違い、大蛇や鬼が出てきたりと、ちょっとこわーい場面も。子ども達の表情は真剣そのものでした。

 

 

最後の仕上げに移ります。
あらかじめ用意しておいた梶の葉と五色の紙飾りを、穴をあけた短冊にこよりに通してくくりつけていきます。スタッフに手伝ってもらいながら、一生懸命つけます。
自分でやれたことが、うれしい子ども達です。

 

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そして、もう一度、ヒモに吊るして、お父さん、お母さんをお出迎え。
きれいだねー、すてきだねー、と歓声があがりました。


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旧七夕ももうすぐですね。
さて、七夕の美術展も、残すところあと1週間となりました!まだご覧になっていない方はぜひ、静岡市美術館までお越しください! (s.m)

 

8/26(日) P・バラカン×B・オズボーントークイベント 当日の内容を少しだけ紹介!

2012/08/10


ブロードキャスターとして活躍中のピーター・バラカン氏を案内役に迎え、
美術や音楽の基底にある、人が「アートする」という行為はどのようなものか?
毎回様々なジャンルをとおして考える本イベント。


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第6回目は「音楽と写真」をテーマに、8/26(日)13:00~開催します。

 

今回のゲストは、当館多目的室にて「親子写真展」を開催中の
写真家、ブルース・オズボーンさんです。

 


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(c) Bruce Osborn / ozone inc.


レコードやCDに欠かせないそのアートワーク。

今回はお二人に、レコードジャケットや、その写真にまつわるエピソードなどを、
音楽とともにご紹介いただきます。


iPod等のデジタル音楽プレイヤーの普及とともに、
CDやレコードジャケットを手にする機会が減った方も多いと思います。


また、テレビ等のメディアが今よりも発達していなかった時代、
1つの曲にまつわる視覚的イメージは、今よりもずっと限られていたのではないでしょうか。

コンサート等で生演奏に触れる機会も少なかったこの時代、
レコードのアートワークが唯一の、 ミュージシャンや曲から連想できるイメージだった
と言ってもいいのかもしれません。


オズボーンさんは、アメリカ、日本で数々のミュージシャンのアーティスト写真を
手がけてこられました。


1970年代半ばより、全米に配布されていた音楽情報誌
『Phonograph Record Magazine』にてカメラマンの仕事をスタート。

ローリング・ストーンズのロン・ウッド、エタ・ジェイムズ、ウォーレン・ジヴォン、アバ、
エレクトリック・ライト・オーケストラ(ELO)などの写真を新たな視点から撮り下ろし、
注目を集めました。



日々音楽を紹介する側にいるピーターさんと、
その音楽のアートワークを撮り続けてきたブルースさん。

一体どんなレコードを紹介いただけるのか、とても楽しみですね!


また、ビートルズなど伝説のアーティストが生まれた60年代ロンドンで生まれ育ったピーターさん。
同時期の、カウンターカルチャーまっただ中のアメリカ西海岸で青春期を迎えたブルースさん。

音楽や文化にとって濃密な時間が流れたこの60年代に、
お二人は何を聴き、何を想ったのでしょうか。


音楽だけでなく、それにまつわるアートワークについても語る、なんとも贅沢なイベントです!



実は・・・お二人に、当日紹介するレコードを1枚だけ、教えていただきました!


まずはピーターさんが選んだ一枚はこちら。

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「このアルバムに収録されている音楽を、この写真は完璧に表しています。」 

― ピーター・バラカン


言わずとしれたTHE BANDの最高傑作「THE BAND」。
俗に「ブラウンアルバム」と呼ばれていますね。

ピーターさんのコメント、
端的に、的確に、このレコードの音とイメージについて言い当てておられてますね!


若いのにそのすべてが渋すぎる!
そして、古い音楽の伝統を新しく解釈した音、というところでしょうか。

当日はどの曲をご紹介いただけるのかも楽しみですね。



次はブルースさんの選んだ一枚はこちら!


 

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「1976年にリリースされたBoz Scaggsのアルバム「Silk Degrees」は、そのジャケット共々、
その後のミュージックシーンに大きな影響を及ぼしました。
このアルバムの写真を撮ったのはMoshe Brakhaです。
彼のファッション写真的な技法と、情熱的な表現は、とっても魅惑的で神秘的で、
Mosheイメージによって、Scaggsの音楽が、さらに高い評価を得られたと思います。
このレコードの写真でグラミー賞をとった時、
MosheはArt Center College of Designを卒業して間もなくの頃で、
その後も音楽業界への偉業を数々残しました。」

― ブルース・オズボーン



Boz Scaggsの出世作。こちらも名盤中の名盤ですね。
Boz Scaggsは、「Silk Degrees」で今までのサウンドをより洗練させ、
アルバム・ジャケットのイメージも一新。
その後AOR(Adult-Oriented Rock)という新たなジャンルを切り開き、
流行の先端をいくミュージシャンになりましたね。


当日はもちろんこのほかにもたくさんのレコードをご紹介いただきます!



なお、当日は「ブルース・オズボーン 親子写真展~未来の私たちへの贈り物~」最終日!
氏のライフワークである親子写真についてもお話しいただきます。

※本イベント開催のため、8 月26 日(日)は16 時まで写真展をご覧いただくことができません。
予めご了承ください。


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本イベントの詳細、お申込みはこちら

申込締切日は8/14(火)です!


この機会をお見逃しなく!!!


(m.y)

もう一つの七夕

2012/08/08

 

昨日は8月7日、月遅れの七夕、今年、平成24年はこの日が立秋でした。

なるほど、今朝の静岡はいつもより涼しくて
秋きぬと 目にはさやかにみえねども 風の音にぞ おどろかれぬる でした。

七夕の美術展も残すところあと2週間、まさに大詰めです。

 

8月6日の静岡新聞に、日詰明男さんの記事が掲載されました。

このブログでも紹介しましたが、七夕展の関連展示として葵タワー1階エントランスにフィボナッチタワーを、そして3階の美術館エントランスに羽衣天の川を、市民の皆さんと一緒につくってくださった、アーティストです。

今回、日詰さんに、葵タワー1階(地上界)エントランスに、展示室のある3階・美術館(天上界)まで届くような竹のタワーの制作を、そして美術館のある3階(天上界)に羽衣天の川の制作を依頼したのは、本展の見どころの一つでもある、「天稚彦の物語」のようなことを、現代作家と一緒にしてみたかったからです。

この天稚彦の話は、ぜひみなさんに楽しんでいただきたい、知っていただきたい、もう一つの七夕ともいうべき、とってもユニークな七夕のお話です。

本展では、とにかくいつ来ても、通してお話がわかるように、こんなふうに展示しました。

 

 

 

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このお話、とっても面白いのです!


皆さんは、織姫と彦星の七夕の話は、小さい頃からよくご存知だと思います。

織姫と彦星のお話は中国からやってきたものですが、この天稚彦の話は、日本独自の物語!

しかも、天稚彦は天から地上に降りてきて、姫に構わず勝手に天に帰ってしまうし。
姫は天稚彦に会いたくて、自力で、まるでジャックと豆の木みたいにして天に昇るし。


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安城市歴史博物館本

 

天にいけば、箒をもった箒星や、昴に出会うし。
しかも昴(すばる/プレアデス)はセブンシスターズ(seven sisters)で描かれていてかわいいし。

 

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安城市歴史博物館本

 

それから天の川は、西洋ではミルキーウェイだけれど、この話では、天稚彦のお父さん(鬼)が投げた"瓜"が割れて誕生したり、姫の涙でできたり、、

 

 

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専修大学図書館本

 

そういえば、冷泉家の乞巧奠 星の座で、織姫と彦星に捧げられたお供物、海の幸山の幸には、瓜がお供えしてありましたね

 

 

 

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うりなすび ももなし からのさかづきに ささげらんかず むしあわびたい(瓜茄 桃梨 空の杯 ささげ 蘭花豆 蒸鰒 鯛)

 

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「天稚彦の物語」に冷泉家の「乞巧奠 星の座」

ぜひご来館になってご覧ください!
統計をとってはいませんが、来館者アンケートやギャラリートークをしたときのお客様の反応から察するに、大変人気です!!

遠方の方は図録でお楽しみください
今回、サントリー美術館本、専修大学図書館本、安城市歴史博物館本、の図様を比較できるようにして図版を掲載しました。
お陰さまで、売れ行きがよく、売り切れ御免!という状況です
お早めに!

(e.y.)

 

 

 

ストラスブール美術館展のポスターとチラシができました!

2012/08/08

立秋を過ぎましたが、まだまだ暑い毎日ですね。

 

さて、少し早い登場になりますが、

10月27日(土)から当館で開催の

「ストラスブール美術館展 モダンアートへの招待」

のポスターとチラシが本日到着しました!!!

 

本展の注目作品、ポール・シニャックの《アンティーブ、夕暮れ》に合わせ、全体は淡いブルーで統一されています。

 

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お菓子のパッケージのようなかわいらしいポスターとチラシになりました♪

チラシは本日から館内に設置を始めていますので、見つけたら是非お手にとってご覧ください。

前売券は、今週末8月11日(土)から発売です!

 

ストラスブールってどこ?関連イベントは?作品のみどころは?などなど、

徐々に展覧会情報はお知らせいたしますので、どうぞお楽しみに。

(K.O)

東西七夕美人対決 深水VS恒富 そして雪岱

2012/08/05

 

 ただ今、後期展示の七夕の美術展展示室では、東西の近代美人画家による七夕対決!

 東は、日本近代を代表する美人画家・伊東深水《銀河祭り》(左側)

 西は、近年注目される大阪の美人画家・北野恒富《願いの糸》(右側)


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本展を準備する中で、また実際作品を展示していて、改めて、近代を代表する日本画家たちにとって七夕という画題が大切なものだったんだということを感じます。
 (その理由は、まだ私にはわからないけれど、、、)


 しかも、私たちが今では忘れている七夕の風習が描かれることが多いこと!

 二人が描いた七夕の風習とは、、、、

 旧暦の七月七日(本年は八月二十四日にあたります)、女性たちは盥(たらい)の水に"天の川"を映し、その上で針に糸を通すことで、裁縫の上達を祈ったといわれています。これは、冷泉家に今なお伝えられる乞巧奠(きっこうでん)と呼ばれる技芸の上達を祈る星祭りの風習にもよります。


 左側の伊東深水《銀河祭り》と右側の北野恒富《願いの糸》

 いずれも、この、私たちが忘れている七夕を描いた、とっても魅力的な作品です。

 

 まず、左側の作品、深水からみてみましょう。
 薄い青の着物を着た女性が、水がなみなみと張られた盥の前にしゃがんでいます。彼女は一心に針に糸を通そうとしています。その真剣な表情、真っ白い肌に赤い糸が印象的です。
 頭上には笹の葉に短冊、そして「梶の葉」が象徴的に吊り下げられています。
 そして短冊には「七草や 露の盛りを 星の花」と鬼貫の"秋の句"が認められているのです。
 この作品は一九三八年頃から構想を練り、第二回日展へ出品した彼の渾身の大作!


 一点の破たんもなく研ぎ澄まされた美しさを感じます。

 深水の師・鏑木清方に、ローマで開催された日本美術展へ出品した《七夕》絹本着色 六曲一双 昭和四年(一九二九)大倉集古館蔵がありますが、深水はいわばそのエッセンスをこの堂々たる大幅に描ききっているといえるでしょう。

 

 右の作品、恒富も負けてはいません

 女性の、物思う、なんともいえない表情は、深水の一途それとは違った味わいがあります。

 髪飾りにも☆がきらめいています。何より、当時評判となったといわれる「恒富の赤」が画面を引き締め、効果的ですね

 

 さらにさらに、

 本展では、もう一点、この風習を描いた、とても素敵な作品を展示しています。

 ちゃんと、盥の水に映った星を描いた作品、小村雪岱《星祭り》です。

 

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小村雪岱《星祭り》金子國義氏蔵

 

 大きな盥の前にしゃがみこむ華奢な美人。彼女が覗き見ている盥桶の中には、まるで蛍の放つ光りのような青っぽい星が五つぶみえるのです。
 彼女の着物には秋の草花である桔梗と薄が描かれています。群青色の桔梗の花はお星様の形と同じ、五角形!薄の曲線は流水紋にもみえ、まるで天の川の衣をまとっているようにもみえますね。


 (ちなみに、この見方は、お客様に教えて頂きました。あの泉鏡花の装丁本などを手掛けた雪岱ですから、着物に描いた桔梗は、秋だけじゃなくて☆を、天の川を意識していたかもしれませね)

 

 

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 初秋の星祭り・七夕は、今も昔も私たちにとって魅力的な行事であることを、こうした作品群は何より雄弁に物語ってくれている、そんなことを考えます。

 この展覧会は残すところあと2週間!今、ここでしか見られません!

 ぜひぜひ静岡市美術館へご来館ください。

 

(e.y.)

 

 

初秋の星祭り"七夕"

2012/08/02

 

  七月二十四日から七夕の美術展【後期】がスタートしました。

 明日、八月三日~五日まで、静岡では第65回清水みなと祭りが開催されます。

 お祭りを楽しむ前に、ぜひ、涼しい静岡市美術館にお立ち寄りください!

 "ゆかた"でお祭りを楽しむ方、あなたの"ゆかた"に負けないくらい、素敵な和服を着た女の子たちの作品を静岡市美術館でみてください。期間限定で"ゆかた割引"開催中です!

 和服に注目して、七夕の美術展でただ今展示されている作品をご紹介しましょう。

 今回は、ポスターで大人気、橋本花乃《七夕》昭和5~6年頃)大阪市立近代美術館建設準備室蔵です 

 

   

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"女性画家の描く初秋の星祭り"
 

 七人のおかっぱ頭の少女たち。

 どこか懐かしさ、純粋さただよう、ステキな作品です。

 少女たちは、五色の短冊を切り、お習字をして、「七夕」と記された短冊を「はいどうぞ」と手渡し、笹竹につけている様子が、二曲一双の屏風の中で右から左へ流れるように展開しています。赤、青、黄色、白、緑の鮮やかな短冊に呼応するかのような、少女たちの着物の描写は、実に見事!

 

 

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 着物の柄もまたかわいらしいのです。

 右の子は白地に団扇が散りばめられ、笹だけや菊の模様、赤い着物の子は、橘、薄緑色の子は紅葉。薄い赤の子は梅に菊、青い子は流水に紅葉、薄い青の子は真っ赤な菊。

 そう、菊や紅葉は言うまでもなく秋の風物ですね。

 

 七夕と言えば、現代の私たちの生活の中ではすっかり"夏の風物詩"ですが、旧暦では"秋"。つまり、"七夕は秋の初めの星祭り"なのです。昭和初年に描かれたこの作品の中の子どもたちが、こうした秋模様の着物を身にまとうのは自然なことなのです。

ちなみに短冊に願い事を書くというのも、ごく最近のことのようです。その証拠に画中の短冊にはどれをみても「をりひめさま」「天の川」「二星」などと七夕を象徴する語句が記されています。願い事は一つもありません。

 

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こんな素敵な屏風を描いたのは、実は橋本花乃(1897~1983)という女性の画家です。彼女は大坂の美人画の名手・北野恒富の門下の雪月花星(星加雪乃、別役月乃、花乃、四夷星乃)の一人に数えられた優秀な画家でした。大正九年には母子の情景を暖かな眼差しで描いた《愛》で第二回帝展入選をはたしている実力者!

 筆力の充実した本作は彼女もまた自信を持って帝展に出品した作品でした。しかし、なぜか落選してしまったそうです。以来、花乃は大規模な公募展への出品をやめ、昭和七年には家庭に入り、結婚後も城田花乃として活動を続けました。

 

 でも、この「七夕の美術展」では、間違いなく一等賞!ですね。

                            (e.y.)