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「匠の技-漆」を開催しました。

2012/01/18

静岡市美術館では、多目的室にて1月7日より開催中の「静岡の匠」展にあわせ、
3週連続で、静岡の匠の技を紹介するイベントを開催中です!

第1週目である8・9日は、静岡漆器工業協同組合の皆さんによる
漆の実演とワークショップを行いました。

静岡漆器工業協同組合の皆さんは、1月4日に完成お披露目をした漆芸作品
《東海道五十三次ひとめ図》の制作に携わられた方々です。

当日は、この《東海道五十三次ひとめ図》に用いられた技法の解説も含め、
駿河漆器独自の"変塗(かわりぬり)"の魅力を存分にご紹介いただきました。

まずは実演の様子からご紹介します。


"変塗"とは、江戸時代、刀の鞘塗(さやぬり)から派生したもので、
漆に顔料で色をつけた色漆(いろうるし)、金属箔(きんぞくはく)、卵殻(らんかく)などを入れ、
模様をつくる"塗り"の技法のことです。
静岡特有の変塗が何種類も考案されており、中には特許を得た技法もあるんですよ。

 
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こちらの写真は、"駿河炭"という研磨用の炭を使って
"研ぎ出し"とよばれる作業をしているところです。
駿河炭は油桐を焼いて作った炭で、全国的にも有名なんですよ。



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当日は、職人さんが普段使っている道具も持ってきていただきました。
漆を塗る作業には、女性の髪の毛で作られた刷毛を使います。
最高級の刷毛は、70㎝以上ある海女の髪を切り、50年以上置いたものなのだそうです!


先代から受け継いだ刷毛を、参加者の皆さんも実際に触らせていただきました。


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実演の合間には、《東海道五十三次ひとめ図》の前で
それぞれの職人さんが担当されたパーツの変塗のお話もしていただきました。
(ひとめ図は国割のパーツごとに、それぞれ異なる31種の変塗で表現しています!)

 


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こちらの表面を丹念に研ぎ出していくと...



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とても美しい模様が浮かび上がってきます!
この光り輝く部分には、夜光貝やアワビの貝が施されています。

皆さん、熟練した職人の技に、食い入るように見入っておられました。




さて、ワークショップでは、
"卵殻ばり"という変塗の技法を用いて絵を描きました。

卵殻ばりは、読んで字の如く卵の殻を貼る技法です。

 


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まず、ひとめ図の中から卵殻ばりが施されたパーツをみんなで探し、
職人さんから卵殻ばりの歴史について教えていただきました。

卵殻ばりは、漆で表現することのできない白い色を画面に作り出すために発案され、
また、その白い涼しげな色合いから夏に使用する物によく用いられた、など
貴重なお話をたくさん伺うことができました!

その後、ワークショップ室へ戻り、制作に入ります。
 



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予め漆塗りが施された板に、カシュー漆
(カシューナッツの殻から絞られた油が原料の漆)で絵を描き、
そこに小さく砕いた卵殻を、つまようじの先に水をつけ、
ひとかけらずつ丁寧に貼っていきます。


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年の初めということもあり、
今年の干支である辰や、富士山を描いた参加者が多かったです。

 

ワークショップ終了後、作品は講師を務められた職人さんが
工房に持ち帰りました。


この後、作品の上に2回、3回、と漆を塗り重ね、
駿河炭で卵殻ばりの図柄が浮き出るまで、丹念に研ぎ出します。

 



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作品の横にある紙には、
あわびの貝を貼ってほしい場所が記されています。

研ぎ出しの作業が終わった後、職人さんがひとつひとつ手作業で
貝を切り、貼ってくださるそうです!

仕上がった作品は、2週間後に美術館に届けられます。
私たちも今から完成した姿を見るのが待ち遠しいです!

さて、実演やワークショップで講師を務めていただいた職人さんたちの作品展
「静岡の匠」展を、当館多目的室にて今月22日(日)まで開催中です。

まだご覧になっていない方はどうぞお見逃しなく!

(m.y)